Aさんの趣味は、週末に車でドライブをすることだ。
通勤では車を使わないため、近所の駐車場に車を停め、休みの日などに車で遠出するのを楽しみにしていた。
そんなある日のことである。
Aさんの家のポストに、一通の封筒が投函されていた。
中を見てみると、駐車場で隣に車を駐車しているBさんからのものらしい。
文面には、駐車していたBさんの車に、Aさんが車を擦ったこと、そのためできた傷を修理したこと、さらにその修理費を払えという内容が書かれていた。
Aさんには心当たりがなく、当然ながらAさんの車にぶつかった跡など残ってはいない。
直ぐに駐車場の隣の車を見に出てみるが、隣の車は駐車されておらず、どのような傷が残っているのかわからなかった。
とりあえず、次に何かアクションがあるまで待とうと思い、このことについて保留したまま数ヶ月が過ぎ、忘れかけていたある日のこと。
再びポストに封筒が投函され、今度は請求書と、支払わなければ訴えるという内容の文面が入っていた。
訴えるとまで言われ焦ったAさんは、Bさんに連絡を取り、自分の車はぶつかっていないこと、支払うつもりはないことを伝えるが、BさんはAさんが車をぶつけたんだと主張して譲らなかった。
そこで、請求の根拠として修理の明細書を要求してみたところ、前方左側から側面に掛けて細い傷が入っており、その修理費として80万円がかかったとされていた。
それ以降、払う払わない、ぶつけたぶつけないの話が平行線のまましばらく続き、ついに裁判沙汰にまで発展する事態となった。
Aさんはここまでの話し合いの中で、ここまできたら、いっそ徹底的に争う心構えとなっていたため、Bさんが証拠として出してきた車体の傷の写真から、車をぶつけた傷ではないことを立証するため、事故鑑定を行うことにしたのだった。
鑑定そのものは非常にスムーズに進行した。
というのも、提供された写真の傷の状態から、車体同士で接触したときにできる傷跡ではないことが一目瞭然であったのだ。
Bさんの車体に残っていた傷跡は、一定の太さで、ところどころ折れ曲がりながら車体の左側側面を長く走っている。
そしてその傷跡は深さもそれなりにあり、傷跡の両脇の塗料が盛り上がるようになっていた。
これは車体が接触したことによる傷ではなく、釘のような硬くて細い鋭いもので付いた傷の特徴であった。
痕跡から判明した圧力も、人が釘のような尖った金属を押し付けたときと同じとの結論が出る。
このことから、Bさんの車の傷は車同士の接触が原因ではなく、人力のいたずらが原因であるとの鑑定結果となった。
【参考情報】
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